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トークイベント 「場づくり」が上手くいく! ハイパーローカルネット活用術 セミナーレポート

「東京北区を創業であふれるまちに」をビジョンに掲げ、コミュニティビジネス創業の促進を図る北区コミュニティビジネス創業支援ネットワーク。その活動の一環として「しかのいえ」さんが主催するトークイベントに駒込区の代表である権成俊が登壇しました。 イベントでは「ハイパーローカル(超地元密着)」の具体的な活用方法と、地域に根ざした新しいビジネスモデルについてお伝えしました。
 
 
 

ネットを活用した街のビジョンを描き、提案したい

私たちはネットの専門家として、長年の経験を活かし、地域に根ざした活動を行っていきたいと考えています。特に駒込に20年住んでいることで、この街への強い愛着があります。2020年のコロナ禍では、地元の飲食店が自助努力で生き残りを図る様子を見てきましたが、その限界も痛感しました。だからこそ、ネットの力を活用し、駒込の街が持続的に発展するビジョンを描き、地域の未来に貢献できる提案を行いたいと考えています。
そこで私たちは、株式会社駒込区を立ち上げました。

ECによる物流の増加が近年問題に

近年、EC(ネット通販、ネットショップなど)による物流の圧迫により、社会コストが増大しています。消費者は「早い・安い・手に入れやすい・リピートしやすい」を求めており、近所で調達するメリットが年々大きくなってきているのです。
そこで注目されてきているのが「ハイパーロカル」という概念です。

ハイパーローカルとは(超地元密着)という意味

「ハイパーローカル」とは、「非常に限定した狭い範囲の地域やコミュニティ」を指す概念のことを言います。スマートフォンで位置情報が取れるようになり、より注目を集めています。約5年で全世界で900兆円の市場規模が見込まれているといわれています。
近隣の人をターゲットにすることで、配送コストや移動コストを削減し、効率良くサービスを提供することが可能になります。都市部であれば、およそ半径1km以内に絞りこむのです。人口密度が高い都市部では、1kmと限られたエリアでこそハイパーローカルが機能すると考えています。

駒込区の事例

例えば駒込区は駒込を生活圏としている人を対象とし、ハイパーローカルを形成しようとしています。駒込駅前の入りにくそうな雰囲気が漂う中華料理屋さんは、歴史は古く人が吸い込まれるように入っていくお店です。同じく駅前にある歴史あるお寿司屋さんは、若者には値段がちょっと心配ですが、実は気さくな大将とお手頃価格な料金が売りなのです。
このようなお店をネットの力で認知度を上げ、駒込の住民に広げることはできないだろうかと考えています。実際に後者のお寿司屋さんは、YouTubeに動画を上げたところ、1日あたりおよそ5回というちょうどよい視聴回数で、駒込周辺のお客さんの獲得に成功した事例があります。YouTubeを見たお客さんがかなりの頻度で来店されるそうなのです。

商圏の広さとサービスとの関係

商圏が広がるほどコストは膨れ上がり、サービスの質は落ちていきます。Amazonやネットスーパー、Uber Eatsが良い例ではないでしょうか。企業規模が大きくなるほど、コストは莫大になっていきます。サービスの質においては、感じ方は人それぞれかもしれませんが、基本的には商圏が狭くなるほど暖かいサービスを受けられる印象があると思います。ハイパーローカルの代表的なサービスの一つに出前があります。出前は配達料金がかかることなく、暖かいご飯を届けてくれます。さらにお店の顔である配達員はいつも笑顔であることが多い印象です。

ハイパーローカル マーケティングのメリット

先ほどの駒込区のお寿司屋さん事例は、ネットを利用したハイパーローカル マーケティングの手法を取り入れたものです。
駒込区では駒込を中心に半径1kmに絞った情報発信およびサービス提供を行っていきます。さらにビジョンの発信と実現のためのプラットフォームを作成し、これを利用して、住民自らが自身の住むエリアを良くするために、さまざまな店舗の支援やサービス提供を行う構想です。このようなハイパーローカル マーケティングには、様々なメリットが生まれまれると予想されます。
  • 入ったことがないお店の雰囲気や店員さんの様子を知ることができ、認知・理解が向上するとともに、安心感も得ることができ、実際に足を運びやすくなる。
  • 近所のため、すぐにお店に行くことができたり、すぐに配達ができるので、交通費や配達料などのコストを最小限に抑えることができる。
  • さまざまな交流を生み出すことができ、顔見知りになれることで信頼関係を構築することができる。
ネットの強みとリアルの強みの良いところが共存できるのが、ハイパーローカルマーケティングの最大のメリットなのです。

駒込区の今後の活動

駒込区は今後下記のような活動をしていく予定です。ハイパーローカルメディアを中心に、地域全体を巻き込んだプロジェクトの展開を予定しています。
ハイパーローカルメディア
駒込駅周辺の飲食店や小売店を動画で紹介し、価値を再評価してもらう。これを活用して集客力のあるウェブサイトやSNSを作り、集客後に収益化する。
駒込デリバリー
年配者や子育て中の方が、アプリで注文できるシステム。配送者は1配送で複数件の注文ピックアップが可能で半径1km以内なら片道5分、買い物入れて10分が目安。
駒込訪問先サービス
駒込にお住まいの方やお勤めの方で、高いスキルをお持ちの方が訪問サービスを行う。(例:習い事講師・家事掃除代行・ベビーシッターなど)
駒込ハローワーク
駒込区内の求人情報を集め、情報発信する。徒歩10分以内の範囲で求人を行うことで、「毎日ランチの2時間だけ」、「急遽1時間後に働ける人」などの求人が可能。
他地域への展開
駒込区で獲得したノウハウをフランチャイズで地域へ展開するプランです。
 
地域コミュニティの活性化と地元ビジネスの支援を重要な目標としています。特に地元で運営する小規模ビジネスがハイパーローカルを活用することで、より効率的に地域のニーズに応え、持続可能なビジネスを展開できるようになると予想しています。
そして駒込という地域そのものを「ブランド化」を目指しています。そのためには地元の魅力を再発見・再発信する必要があると考えています。駒込は他の地域と違い、歴史や文化に根ざした独自の魅力があります。この魅力を発信し続けることで、駒込をさらに豊かな地域にしていくことが目標です。

駒込区の課題点

駒込区の一番の課題は、どのようにビジネスに繋げていくのかという点です。現在行っている活動に対しても、これから行う活動に対しても、収益の見込みがまだ立っていません。これを解決するための策として現在考えているのが、駒込区民税です。月額300円でこのサービスを使えるようにしてはどうかというものです。しかしこれについても課題はまだたくさんあります。

一緒に街づくりをしてくれる方を募集しています

課題もある駒込区ですが、取り組みの内容としては「住民自身で駒込をよりよい街にする」という事業でとても可能性を感じています。そこで最初の仕組みづくりは、自治体やボランティアで行えたら良いなと考えています。駒込区では協力してくれる人を募集しています。
  • アイデアを出してくれる人
  • ウェブサイトやアプリをつくれる人
  • 食レポしてくれる人
  • 動画撮影・編集してくれる人
  • 駒込デリバリーで配達をしてくれる人
みなさんで一緒に街づくりをしてみませんか?そしてハイパーローカルの街づくりのモデルとして活躍してみませんか?街づくりに興味のある方のご参加、ハイパーローカルについて興味のある方のご参加を、駒込区はお待ちしております。

セミナー参加者の声

セミナー終了後、参加者の方々は駒込区のビジョンに強い共感を示してくださる方が多い印象でした。
地元商店主のAさん「地元での集客は難しかったが、今回のセミナーでハイパーローカルネットの活用方法を学び、新たな可能性を感じた」と述べ、実際に動画コンテンツの活用を検討中であることを明らかにしました。
地域住民のBさん「駒込の商店や飲食店をもっと身近に感じるためのアイデアが素晴らしかった。動画を通じて、普段入りにくい店の様子がわかるのは安心感につながる」と、参加前には感じていなかった地域との新たなつながり方に感銘を受けている様子でした。
若手起業家のCさん「駒込区のプラットフォームを利用して、自分のビジネスを広めたい。ハイパーローカルネットは小さなビジネスに大きなチャンスを与えてくれる」と、自身の事業展開の可能性に期待を寄せていました。

まとめ

今回のセミナーは、地域とデジタルを融合させる新しいビジネスモデルを提示し、多くの参加者にとって貴重な学びの場となっていただけたです。駒込区としては、今後も地域経済の活性化を目的とし、ハイパーローカルネットを活用した様々な取り組みを展開していきます。今回のセミナーを皮切りに、駒込区がどのように地域コミュニティとデジタル技術を融合させていくのか、今後もご期待ください。