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ハイパーローカルとは

最近注目を集めているハイパーローカル。近い将来大きな市場になるという予測も出ています。果たしてどのようなものなのでしょうか?駒込区調べではありますが、ハイパーローカルの簡単な歴史も調べてみました。

ハイパーローカルは海外からやってきた言葉

ハイパーローカル(超地域密着)とはいつから使われた言葉なのでしょうか。海外では概念として使用され始めたのは1990年代から使用されていた用語のようですが(Wikipedia:Hyperlocal)、辞書を調べると形容詞としても使われています。
正確にどの地点から広まってきた、というデータや記録がありませんが、本格的にこの言葉が浸透し始めたのは、2010以降のように感じます。この頃から、ハイパーローカルの記事が多くみられる印象があります。

ハイパーローカルとソーシャルメディアの関係性は早い段階から関心が

2008年の学術論文(J-stageより)において、既にハイパーローカルの可能性を匂わす文章が出てきます。ハイパーローカルという単語は使われておりませんが…。
インターネットがコミュニケーションのグローバル化をもたらす一方で,ローカルな範域においてもインターネットが使用され,それが地域におけるコミュニケーション行動を変化させたり,地域社会を再編したりすることも論じられている。  (人文地理 第60巻第 5 号(2008) インターネットをめぐる地理学的研究の動向 和田 崇)
ネット社会はどんどん進化していきます。2008年にiPhone3Gが発売し、ソーシャルメディアも一層身近になっていきました。ちなみにmixi、Ameba ブログは2004年、日本語版FacebookとX(旧:Twitter)は2008年、LINEは2011年、Instagramは2012年に登場しています。
その後Facebookは、パーソナライズな情報を提供し始めたのはご存じの通りです。

東日本大震災やコロナ禍で注目を集める

実は東日本大震災において、ハイパーローカルという言葉が少し注目を集めました。ハイパーローカルな情報発信について頻繁に語られはじめます。
いつもと違う環境になった時に力を発揮するのがハイパーローカルです。そして復興時、地元のパワーを伝えられるのもハイパーローカルメディアの役割だと思いますが、いつもと違う雰囲気の中、それを伝えていくのは難しいことのようです。
そしてコロナ禍では、世界各国で行動制限がされてしまったため、ハイパーローカルに関心が集まりました。コロナ禍で人々の生活は大きく変化し、それに伴い産業の在り方も変化しなければなりませんでした。

今後拡大する見込みのハイパーローカル市場

ここ数年、以前よりも「ハイパーローカル」という言葉をよく目にするようになった印象です。コロナ禍以降関心をもたれてきたことや、海外の市場調査にて、ハイパーローカルの世界市場が2031年までに大きく成長する見込みだという分析レポートが出ており、注目を浴びているのも大きな要因だと考えれます。
実はハイパーローカルという言葉自体はあまり聞きなれかもしれませんが、徐々に私たちの身近なものになってきています。例えばスマートフォンで、飲食店をGoogleで検索しようと思ったとき、繁華街であれば半径1km以内の飲食店がたくさん表示されるはずです。これはハイパーローカル・マーケティングの手法の1つです。

ハイパーローカルは超地域密着

ではハイパーローカルとは具体的にはどういうものなのか。都市部なら半径1kmを目安に(本当に近隣です)、「ごく狭い範囲に絞って」という意味で、日本語に訳すと「超地域密着」なんて言います。
概念として捉えられることも多く、「ごく狭い地域に情報やサービスを提供すること」という意味で使われることもあります。
ハイパーローカルは、単語を繋げて使用されることが多いです。例えば、ハイパーローカル・ビジネス、ハイパーローカル・戦略、ハイパーローカル・マーケティングなどです。

ハイパーローカルの特徴

ハイパーローカルは、地域のを狭い範囲に絞っているため、下記のようなメリットがあります。
  1. コスト削減できる
  1. 迅速な情報共有が可能
  1. 地域コミュニティの活性化
配達コスト、宣伝コストなど、様々な面ででコストを削減できることはもちろん、地域が限られているため、迅速な情報共有が可能です。これはビジネスにおいても、災害時においてもメリットとなると考えられています。またハイパーローカルではさまざまな交流を生みやすいと考えられているため、結果的に地域のコミュニティの活性化にも一役買ってくれそうです。
これらをふまえて、最近よく使われているハイパーローカルの言葉をご紹介します。

ハイパーローカル・マーケティングとは

ハイパーローカル・マーケティングとは、地域に特化したインターネットやデジタル技術を活用し(これをハイパーローカル・メディアと呼ぶ)、近隣住民や地元のビジネスを対象にしたマーケティング手法を指します。このマーケティングでは、例えば、地元の飲食店や商店がSNSやウェブサイト、動画配信を通じてリアルタイムで情報発信を行い、近隣エリアの住民にアピールすることで、集客や地域活性化を目指します。

ハイパーローカル・ビジネスとは

ハイパーローカル・ビジネスは特定の地域やコミュニティに密着したビジネス形態のことです。地元のニーズや文化を理解し、それに応じた商品やサービスを提供することを重視します。たとえば、地元の生産者から食材を調達するレストランや、地域の特産品を取り扱うショップがハイパーローカル・ビジネスの例です。

ハイパーローカル・戦略とは

ハイパー・ローカル戦略は、特定の地域や小さなコミュニティに焦点を当てたマーケティングやビジネスのアプローチです。地域の特徴やニーズに合わせた活動を行うことで、より効果的な成果を目指します。

ハイパーローカルの課題

ハイパーローカルには課題も浮き彫りになっています。例えば地域特化の戦略は、一度に広範囲な市場に拡大しにくく、地域ごとに戦略を練る必要があり、非常に時間がかかってしまいます。そして中小企業にとっては、事業を展開するためのリソースが限られていることが多いため、多くの地域でビジネス展開を行うのが難しくなります。さらに地域ごとの異なる需要に応じた供給チェーンの管理や在庫管理が必要となり、物流管理が複雑化することが想定されます。それらの要因により、ビジネス初期段階では利益を生み出すことが容易ではないしょう。

ハイパーローカルの可能性

課題はあるものの、市場規模は2031年までに大きく成長する見込みであると予測されています。ハイパーローカルには下記のような可能性が秘められているのです。
  1. 地域経済の成長: 地元のビジネスやサービスをサポートすることで、地域経済全体の活性化が期待できる。
  1. 持続可能な発展: ローカルなリソースを活用することで、持続可能なビジネスモデルを構築しやすい。
  1. コミュニティの強化: 地域社会との強い繋がりを築くことで、コミュニティ全体の連帯感やサポートシステムを強化できる。
  1. カスタマイズされたサービス: 特定の地域のニーズや文化に合わせた商品やサービスを提供することで、顧客満足度が向上。
  1. イノベーションの機会: 地域特有の課題やニーズに対応するための新しいアイデアやソリューションが生まれる。
課題も多くありますが、この概念が広がっていけば、よりよい地域社会を創っていくことができると考えられます。そして思いもよらない方向で、現代の地域の問題も解決できるかもしれません。
「ハイパーローカル」カタカナで難しそうな言葉ですが、「町おこし」「地域おこし」「地域創生」にも近いものです。ハイパーローカルは、地域のつながりを途切れさせない社会づくりに非常に重要なものだと感じています。